(はてブロへ移行するための過去の自分のnoteからの転載記事になります)
アンノウンをプレイして「この2人にぜひプレイしてほしい!」という人たちがいたので、執拗な勧誘によってGMさせていただきました。
初GMだったので体験記を残しときます。
以下より、『アンノウン』のネタバレが多分に含まれています。
今後『アンノウン』のゲームを視聴・プレイする方の閲覧は非推奨です。
閲覧したことでゲーム体験が損なわれたとしても責任は負いかねます。
①準備
GMシートとエンディング分岐難しい!
というのが、アンノウンの1番の難所でした。
GMのために初めてゲームデータを見て、私がPLだった時のGMさんのエンディング展開が殆どオリジナルだったことに気がついて感銘を受けました。
本来このゲームはエンディングシートを配布して読み上げてもらう形なのですが、GMさんが即興で物語を作ってお話ししてくれるのですごく味がありますし、語り部として卓越しているなあと感じました。
そのため今回わたしのGMの際にもリスペクトしてそういった即興エンディングにしようかと思いました。
ココフォリアの準備は画像やBGM設定するだけであまり手こずることはありませんでした。むしろ使いやすくてびっくりしました。あとタイマー機能は課金しないといけないんですね……みんなに遊んでもらう代・これまでのGMへの感謝代として500円払いました。
②配役・配慮
配役は自由に選んでもらう形式を取りませんでした。私がPLを終了した時点で「あの2人にはこの配役でやってほしい」と思っていたので。本人達の元来のキャラクターに合うものを選んだので、本人達にも伝えましたが「公式の二次創作」って感じでしたね。ぴったりでした。
今回やってもらうプレイヤー2人はマダミス未経験者でした。
副船長役はマダミスのリプレイ動画を見ているようだったので、ノウハウはある程度わかっているのかなと思いました。
船長役はマダミス全く知らなかったのですが、まあ論文たくさん読んでただろうし文を読むことに長けていると思って不安には思っていませんでした。
しかしながらアンノウンはマダミスとしてだけでなく、SF知識ある前提ということもあってかなり難しいゲームだなと個人的には感じたので「惜しかった〜」と思えるゲーム体験になるようには一定の配慮が必要なのかなと感じました。
実際にこのわたしの勝手な配慮が良いゲーム体験に寄与できたかわかりませんが、以下の説明をオリジナルで加えました。
・タイムパラドクスの概念の説明
・箱の受け渡し方法の説明(宇宙服を着ることやハッチの扉は開いたらすぐ閉じることなど)
・マダミスのHOを読む際の注意(「事柄の時間・場所、自分のできること・できないこと、自分の知っていること・知らないことの区別をして臨むとよい」と伝えました)
・HO読み込み時間、議論時間の延長(約5分前後)
・追加メッセージ(HO)の際に「船内にあるモニターに地球からビデオメッセージが映ります。それを2人で見ています」という説明の追加
議論での誤解については基本的にスルーし、明らかなHOの読み間違いだけ1度個別でチャットにて指摘しましたが本人の言い間違いだったようで大丈夫でした。2人の読み込み能力の高さに脱帽でした。
振り返りとして1点だけ気になるのは、
・行動決定の際に制限時間を設けなかったため30分ほどかかった
ということですね。
5分を想定していたのですが、15分ほどかかっても終わらず声をかけたところ「まだ全然」ということだったので待ちました。そこで10分ほど経過したところで「これ以上の時間は議論で出した結論から逸脱すると判断したため、4分タイマーを設定しますのでその間に行動決定してテキスト提出してください」としました。
もっと早く催促してもよかったのかな?という気持ちと、初めてマダミスを体験するプレイヤーにとって良い体験にするためには時間が必要なのかな?と迷う気持ちがまだあります。あの時に「今日はここまで終了します。明日また開催するのでその時にテキストを送ってください」としたら今更ですが皆の睡眠時間も削らずによかったのでは、でも思考時間の作りすぎだしなとも思いました。
一生結論は出ないと思いますが、2人が「めちゃくちゃ楽しかった」といってくれたので考えるのはやめようと思います。
③エンディング(再現)
今回配信アーカイブもないのでエンディングに関わる議論の要点、エンディングの語りを再現して書いときます。
【議論の大まかな要点】
◯酸素が異常値(O2多いので発火すると危ない。このせいで箱の火花で船長が焼かれた説)
◎未確認生物が1〜2体いる
・言動が全く異なる船長2人、副船長2人
・未確認生物Xの可能性が少し浮上
↓
・副船長が未確認生物Xであることを自白
・模倣、解除の条件の説明
↓
・副船長の死体を見ている未確認生物Xであれば模倣を解いて他の船員に模倣しているのでは?そもそも他の船員に模倣しているのでは?
↓
副船長「船員全員を確認しよう」(リンクの使用)
船長「どこかに隠れている?のでは?」
(ここの各自の考えは議論であまり深掘りされていないため、未確認生物Xの数の想定に食い違いが生じている)
【エンディング】
まず船長、あなたはシステムルームに向かいました。そうすると廊下でとてとてと走り寄る音が聞こえます。副船長です。一緒にシステムルームに入ろうとしているようですが、船長あなたは了承しますか?
船長「はい」
2人はシステムルームに入りました。酸素管理システムの船内全体の設定濃度は恐ろしいほど高くなっていました。この濃度設定のまま、なにか発火したり、小さな火花が起きていたらたちまち大きな火事になっていたことでしょう。船長、あなたは酸素を元の濃度に戻しました。
その後、船長がハッチを直すのに廊下を真っ直ぐと進もうとすると、副船長が後ろで立ち止まっているのに気がつきます。丁度、副船長室の前にいます。どうやらお互い別の場所に行きたいようですが、船長あなたはどうしますか?
船長「一緒についていく」
副船長室に2人で入りました。さて、副船長あなたはどうしますか?
副船長「模倣を解いて、船員の意識に繋ぎます」
副船長の体が消えていき、別の次元へと溶け込んでいきました。そこであなたは船の中にいる船員達の意識に「リンク」します。彼らは船長の容体や実験、行く末を心配するばかりです。あなたの探したい情報はありませんでした。
さて、時間がやってきました。B地点に到着します。
副船長あなたはどうしますか?
副船長「船長に模倣をします」
副船長の体が異次元から三次元に溶け込み、その時には船長の姿になって現れていました。その後、あなたはどうしますか?
副船長「箱に入ってから自分を燃やします」
あなたはただの人間です。どのようにして燃やすのでしょうか。
副船長「あ、燃やす能力は使えないのか。ジャンクから火炎放射器を作ります」
船長の生体認証を使い箱を開け、副船長は火炎放射器を作り、箱に入って自らの体を焼きました。そこには新しい船長の焼死体ができました。
物音を聞きつけて船員達があなたたちのいる保管ルームにやってきました。船員達は新しい船長の死体があることに驚きつつも、箱をB地点に流すことを後押しします。船長あなたはどうしますか?
船長「箱を流します」
あなたは箱を持ってB地点へと流した。謎の死体は、3時間前のあなた達のもとへ送られることになるでしょう。
箱を流し終えたあなたが船内に戻ると、船員が駆け寄ってきます。「副船長が見当たらないのですが!」と。そこで副船長の真相を、すべてを知っている船長のあなたはかける言葉もありません。
眉を顰めたあなたのそばを、嫌な気配が通り過ぎた。振り返るが、そこには誰もいません。
いつしか嫌な気配もなくなって、あなたと船員達は無事に地球に辿り着きました。
そこで何となしに副船長の部屋に赴いた船長は一枚の書き置きを見つけた。
副船長、あなたは一体なにを書き残したのでしょうか?
「信じてくれて、ありがとう」
そして、箱に入った船長の焼死体が地球で運び出されていく。
おわり。
結果的には今回はED7、ただし副船長がAサルコだと明かしている状態のものでした。
船員にリンクしている際に犯人Aサルコの居場所のヒントを渡すだとか、箱を開けた際に犯人Aサルコと鉢合わせにさせることも可能でしたが、ふたりの議論ではそこに行き着いていなかったので採用しませんでした。
そのため今回のエンディングでは犯人Aサルコは同じ箱に入ってきた船長の焼死体を見たことで模倣を解くことができ、船を脱出したという筋書きに変えてしまいました。
語り部として船長の心情や風景描写が甘かったなーと思いつつも、副船長の一言ですべて彩ってくれたのでメリーバッドエンドになったなと思います。
人間に成り代わって、信じられる相手にだけ宇宙生物であることを打ち明けたかったAサルコ。そんなAサルコが最後には逆に人間に信じてもらえる体験をして死んでいく。涙ちょちょぎれ。
この2人は本当にマダミスの推理も進行も上手だったのですが、もっともっと素敵なのはストーリーとキャラクターを大事にしてくれるところです。
船長が「宇宙性精神病」という正式名称で言うように時間がかかっても意識していたり、副船長は自分とは別の性別や一人称を使ってロールプレイしてくれました。
慣れないマダミスの中でもこのストーリーを大事にしてくれる姿勢に本当に感動しました。
そして最後にふたりが「めちゃくちゃ楽しかった」「よくできたシナリオだった」など感想戦も盛り上がっていて、本当に誘ってよかったなと思いました。
GMとしてまとめあげたこと、マダミス初めてなのにわかりやすい進行で助かったことなども褒めてもらって、頑張ってよかったなーとより思いました。
とっても良いゲームでした!
2人にとってどういうゲーム体験になったかはわかりませんが、私にとっては素敵な体験のひとつになりました!